大規模な設計とキャリアへの歩み
AKI
朝日電機株式会社 設計士
―― 朝日電機㈱入社までの経緯
私は今年で朝日電機㈱に入社して12年目になります。現在は、電気設備の設計を主に担当しています。
以前は住宅の建築工事に従事しており、特に住宅内の照明や電気配線、給排水設備工事を含む、建築計画現場担当をしていました。私の場合は、出産、子育てのために約10年間の休職を経ているので、職場復帰への条件として時短希望などの融通がききつつ、前職で得たCADの経験を活かせる職場を探しており、ちょうど設計士の募集をしていた朝日電機㈱が様々な条件に合っていると感じ応募しました。
最初は新しいCADソフトや設計の規模が大きく変わり、線一本引くところから時間がかかり、聞いたこともない専門用語が飛び交う新しい分野にとまどう事も多かったのですが、先輩方や現場の方々のサポートのお陰で、今では高速道路の電気工事を幅広く手掛けるようになり、多岐にわたる設計分野の経験を日々積んでいます。
―― 住宅設計から大規模な建設プロジェクトへ
住宅の設計は、数平米単位と規模が小さく、個々の要素に対して個別に焦点を当てやすいのですが、朝日電機㈱の仕事は大規模プロジェクトになるとその設計も数キロメートル単位の世界ですから、スケール感が全く違います。特に、高速道路のプロジェクトに関しては、電気配線の設計や照明の配置において、細かい計算や効率的なレイアウトが必要なので、設計精度と幅広い調整能力が要求され、緊張感を感じますね。
全数百キロメートルにも及ぶ設計の中、ほんの数ミリのずれが大きな問題に繋がるため、非常に慎重に計画を立て、設計することが求められます。初めて関わったときは、その規模の大きさに対して、繊細な作業の多い工程の連続で本当に驚きました。
また私の経験では、電気設備に関して多くの現場で問題が発生しやすいため、トラブルシューティングや想定される問題への対策を考える力、建造物全体を俯瞰して設計を考える力が必要な分野だとも考えています。
―― 印象に残ったプロジェクト/海老名画像
やはり複雑な高速道路のジャンクションの設計が印象に残っています。特に海老名ジャンクションは幹線道路が交差して入り組んでおり、カーブが急で、標高が高いところに位置している場所にあり、最初に図面をもらったとき、どちらが上でどちらが下なのか、迷路のような複雑なカーブが沢山描かれているただの絵にしか見えませんでした。

それでもなんとか設計を進める中で直面した問題点は、電気設備を建造物に影響を与えないように配置し、周囲のインフラも考慮しなければならないという点でした。どう配置すれば安全で効率的かも分からず、これまでの経験値を総動員しても「これ、どうやって設計するんだろう?」と心から思いましたね。(笑)
そんな現場の為に私が図面上に引いた1本の線を元に、配線が通り電気として全国に届けられている。施工が終わりそこを実際に通ったりすることがあると、ああ、こんなに複雑に計画されていたんだなと実感します。ただ画像を作るだけで私自身は何もできていないように見えても、実際に形になったものを見ると「やっと終わったな」と感じることがありますね。
自分が携わったものが街に存在していることに誇りを感じる瞬間です。
―― 仕事とプライベートのバランス
プライベートは、基本的に家族と過ごしています。最近は子供たちが大きくなって時間が取れるようになり、家族で旅行に行くこともあります。その道すがら仕事の話も家族によくしますね。例えばドライブ中に建物を見たりした時、「これ、お母さんがやってるんだよ」と自慢げに話しています。(笑) 実際に自分が作ったものが街にあふれていると、嬉しくなりますよね。
私は特に橋が好きなので、プライベートでも見るとつい、「どうやって設計されているんだろう?」って思うことがあります。職業柄、建物がどんな風に作られているのか、構造やデザインの意図に興味があり気になりますね。
家庭では最近猫を飼い始めました。3年くらいになるかな。猫がいることで、職場で積み重なった疲れも癒されるし、気持ちが落ち着きます。

家族と一緒に過ごす時間を大切にしながら、仕事もこなしていくことは、やはりやりがいがあると感じます。手を抜くべきところではうまく抜いて、必要な部分をピックアップして効率よく動けるように今後も努めたいと思います。
―― 設計の過程で一番重要にしているポイント
大きすぎる建造物の場合は、全体像が見えない分、図面だけを頼りにして進んでいくので、現場が止まらないように、なるべく見やすく、わかりやすい図面を描くことを意識しています。わかりやすい図面というのは、ぱっと見て計算しなくても理解できるような図面ですね。例えば、数字を計算しないと意味がわからないような図面は避け、誰が見ても直感的に理解できるように心掛けています。それがスムーズな現場進行に繋がると思います。
またお客様からの変更依頼があると、それに基づいて変更を加えるんですけど、その項目点をちゃんと分かりやすく示すことが重要だと思っています。例えば、どこが変更されたのかを示す別の資料を作成して、一緒に提出します。それによって、お客様が前の図面と比較しやすくなり、変更点が明確に伝わるようにしています。
「確実性がある」「丁寧に仕事をしてくれる」と思ってもらえるような細かな対応が、朝日電機㈱がお客様からの信頼を得るための重要な設計の責務だと思っています。
